2013.1.10

青年期の身体の成長に関して

適度の運動は成長を助けます。
これは運動により成長ホルモンの分泌が促進するという人間の機能によるものです。
つまり、成長期にスポーツに定期的に接していれば身長は伸びやすくなります。

世間では、バスケットボールやバレーボールなどの上に向かって跳ぶ動作の多い運動を行っていると身長が伸びるというイメージがあるようですが、それ自体に根拠があるとは思えません。
ただ、一理あるなと思える点は、飛んだり跳ねたりといった動作が多ければ多いほど、着地時に地面から体に伝わる力(ストレス)は多くなるわけで、それに適応しようとして体中の骨や関節や筋肉が成長をしているということは多分に考えられるでしょう。(このストレスと適応の話は前回しているんで、それを参考にしてください。)
このように地面から体に伝わる力をGround Reaction Force(GRF)と呼ぶのですが、体が適応する能力を考慮すると、GRFが大きいスポーツのほうが成長を促進しやすいのかな…という考え方ができるということです。ただ、これはあくまで私の意見ですので、間違いを指摘いただけるのならばありがたく頂戴いたします。

では、体の成長はどのように起こるのか。
体の成長を促すメインの箇所は3箇所あります。一つは長い骨の先端に位置する成長盤、二つ目は関節の表面にある軟骨、三つ目は腱が骨と接する箇所です。
先にも述べたとおり、適度の運動により成長ホルモンの分泌が促進されます。また、運動による適度の体に対する刺激は、成長盤の反応を敏感にさせます(さっき述べたGRF辺りの話)。また、軟骨というのは骨になりきれていない部位をさすのですが、適度の運動により、その部位の強度も図れます。そして、運動による筋肉の活動は腱と骨両方の強度を挙げる効果もあります。つまり、人体の成長というのは骨とそれに接する筋肉の成長に直結していると言って過言ではありません。

適度な運動と確実な栄養素の摂取は成長の鍵となり、部活動でのスポーツだけでなく、青年期においての定期的な適切にプログラムされたウェイトトレーニングへの参加も、骨の成長を著しく助けます。また、青年期の定期的な運動は、老後の骨粗鬆症などの骨の健康を害する病気を防ぎます。

でも、ウェイトトレーニングが成長を助けるって本当?
と思う方も多いですよね。
未だに世間一般において「ウェイトトレーニング」=「子どもがやっちゃダメ」というイメージを拭い去ることもできていないでしょうし。
先にも記したように、運動時に起こる身体への負荷が体の形成を助けるのは科学的に証明されているのですが、一般の人にとっては、その「負荷」と「ウェイトトレーニングで利用する負荷(重り)」は別物という考えがあるのがその原因だと予想されます。しかし、どちらの負荷も同様に人体に作用するんです。
それでもまだ、重いものを定期的に持つことによって、上へ伸びる、つまり、身長の成長を妨げる心配は無いだろうか?という疑問も多いのでしょう。

単刀直入に言えば、適度にプログラムされたトレーニングを行えばナイ!!!
です。

このウェイトトレーニングに関するネガティブなイメージは、オーバートレーニングによる過去の例から悪い印象が生まれたと考えられます。
ウェイトトレーニングに限らず、柔道やレスリングをやると背が伸びない、などという世間のイメージも同じことが言えます。
このネガティブなイメージの発端は全て、若年期でのオーバートレーニング(練習のやらせすぎ)による結果だと考えられます。前回のブログでも述べたとおり、適応しきれない体へのストレスは、人体の成長に悪影響をもたらします。そしてこのオーバートレーニングにおいては、成長期に差し掛かった体に対する悪影響が「十分に成長しきれない」という形で出たということです。

でも、実際に柔道選手やレスリング選手は背が低いではないか!!!という声も良く聞くのですが、これらのスポーツは体重別で行われていて、大きい選手もいることを忘れてはいけません。
欧米人に比べて比較的体の小さい日本人の場合、軽い階級での競技人口が多いため、国内でより切磋琢磨される階級での世界での活躍が多く目立つため、イメージとしてこれらのスポーツ選手が小さいという印象が強いだけとも言えます。
もう一つは、古い慣習や、伝統的トレーニング方法というのは非科学的な要素が含まれていることが多く、それらが結果的にオーバートレーニングに繋がり、これらのスポーツ選手の成長の妨げになったということも考えられるのも事実です。
考えてみれば、もし子供の時分から柔道をやっていれば、成長の過程で必ず自分の体重の数倍もある大人と真剣に稽古をつけることもあるだろうし、古い日本の慣習にある「根性論」が存在する限りは、青年期の体が耐えうる時間と強度以上の稽古が日常的に行われていることを否定することはできません。
つまり、「科学」が「伝統」に負けるといいことは起きないということです。

成長にネガティブな影響を起こす運動はないと考えてください。
運動は成長にいいんです!

要は「どのように取り組むか」が大事になるので、指導者の科学的知識の有無が子供の成長に大きくかかわると言えるのでしょう。

子どもが勝手に苦痛を伴う作業を「やり過ぎる」ということはしません。
大人が「やらせ過ぎる」のです。
だからこそ、指導者になる大人が責任感を持って「科学」を学んでください。

< >

CONTACT

GS Performance
〒135-0034 
東京都江東区永代2-28-3
Email: info@gsperformance.tokyo
TEL: 03-5809-8148
お問い合わせフォームはこちら