2015.3.13
Strength&Conditioning Coach
1977年7月29日に76人のストレングスコーチが米国ネブラスカ州リンカーンのネブラスカ大学に集まり、初のNSCAカンファレンスが開催され、それを機にNSCAは正式に形作られました。
それに先立つこと8年前、1969年8月15日に世界で初めてストレングスコーチというポジションも同大学で生まれています。そのストレングスコーチの雇用を決断したのは米国大学アメリカンフットボールの歴史に今も名を刻む指導者のBob Devaneyでした。そして雇われたのはネブラスカ大学で活躍した元陸上棒高跳び選手のBoyd Epley。そしてその後数年間でネブラスカ大学のアメリカンフットボールチームは繁栄を極めます。そしてその成功を見た他の米国大学アメリカンフットボールチームは、続々とストレングスコーチをチームに置くようになります。
結果、8年後のNSCA結成時には、76人のストレングスコーチが名を連ねることとなったのです。
つまり、もともとのストレングスコーチの役割はアメリカンフットボールチームの強化でした。その成功と繁栄を受け、他の大学チームスポーツの強化にも関わるようになったのです。
ちなみにその時期のNSCAはNational Strength Coaches Associationでした。Strength&Conditioning(S&C)という名称も存在していなかったということです。
NSCAがS&Cを名称に加えたのは2つの理由があります。まず、ストレングスコーチでは人口の限定が過ぎるため、会員数増加の妨げとなることがわかりました。そのため名称を変えて、より大きな人口から興味を引く必要がありました。しかしながらロゴと団体名の登録をすでに済ませてしまったため、そうやすやすとNSCAから名称を変更できません。そのため、どうにかこうにか「Conditioning」という単語を思いついて、S&Cという造語を作り、それをNSCAの名称に組み入れた。そういうことです。
このブログで僕も述べたことがありますが、だから、Strength&Conditioningは1単語であり、ストレングスとコンディショニングという2つに分けるのには、個人的に賛同できないのです。
団体スポーツ競技に参加するアスリートをよりよいアスリートにするプロ。それがS&Cコーチです!
先日、幸運なことに、NSCAジャパンが昨年設けた「ストレングス&コンディショニングコーチ・オブ・ザ・イヤー」という賞を受賞することとなりました。
正直、この賞が設定されることを知った時、心の底から「欲しい!!!!」と思いました。そのため、すぐに僕の信頼するS&Cプロフェッショナルの1人であり、NSCAジャパン南関東アシスタントエリアディレクターである野口氏に推薦していただけるように依頼し、賞設定の発表から数日中には自分のノミネートは済んでいました。本当に獲りたかったんです!!!!!!
その理由は簡単です。
僕の職業がS&Cコーチだったからです。しかも、僕はこの賞を獲ってもおかしくないレベルのプロフェッショナルだという自負もありました。そのうえ、今回がこの賞が誕生してから初の授与となります。つまり、NSCAジャパンが初めて認める最優秀S&Cコーチとなります。そりゃあ、欲しいです!
だから、今回無事受賞することができ、正直ホッとしてもいます。
ただ残念なことが1つ。
この賞の受賞者の決定には、自薦・他薦によるノミネート、NSCAジャパン理事会による選定(5名ほど)、会員による投票、という過程があるはずでした。しかし、NSCAジャパン理事会の時点で、理事たちが受賞に値すると判断したのは僕1人。そのため、最終投票がなく、僕の受賞が決定したのです。
残念です!
日本にS&Cに関わる仕事を持つ人材は複数いますが、S&Cコーチの絶対数は非常に少ないのです。僕がこのブログ内でS&Cコーチでなく、S&Cプロフェショナルという単語を頻繁に使う理由もここにあります。日本にはS&Cコーチという仕事自体が稀有で、自らをS&Cコーチです!!!と堂々と名乗ることができる人材が少ないのです。だからこそ、今回「ストレングス&コンディショニングコーチ・オブ・ザ・イヤー」に自薦にしろ他薦にしろ、ノミネートすることができる人材が少なかったのです。
ここが残念です。
今現在でもS&Cコーチとして活躍している人材は複数います。パーソナルトレーナーの数ほど多くはありませんが、確かに存在しています。でも、もっともっとS&Cコーチという職業が増加することを望みます。1970年代に米国大学スポーツで起こったムーブメントのように、次の10年間で、日本でも奇跡的に同じようなムーブメントが起こり、様々なスポーツ団体がS&Cコーチを雇ってくれるような世の中が出来上がることを夢見ています。
そして今後数年間で、この賞のノミネート数が何10人にも上るような状況になることを望みます。
今回の僕の受賞で、業界間で、この賞自体の認識が高まるといいなと思っています。
そして、より多くのS&Cプロが世に羽ばたいていって、世の中のそこここで多くの人にS&Cの本当の価値を理解していただきたいです。
そしてすべてのS&Cコーチたちが「我こそは!」と自信をもってこの賞にノミネートするような、そんな世の中になってほしいです。
これからは、そのために東京で励みます。
そして、質の高いプロを育成するプログラムも組み立ててみました。まだ空きのあるブロックもありますから、ご興味がある方はお早めにご連絡ください。
この度は「ストレングス&コンディショニングコーチ・オブ・ザ・イヤー」という名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございました。
その名誉に恥じないプロフェッショナルを目指し、今後も精進いたします。