2015.4.29

腕立て伏せ ~できないものはできない~

僕のブログの読者ならば、人生で行った腕立て伏せの回数は何百、何千、何万に上ると思うんです。つまり、かなりやりなれていると思います。そして、指導した経験もある方も多いと思います。
考えてみると、S&Cプロフェッショナルやパーソナルトレーナーで、この運動を教えたことがない人がいないほどの、世界的に知られているスゴイ運動です。

それでも、これをまともに指導できない人がいるんですね。
わけわからない指示を出して指導対象者を困惑させてしまう指導者がいるんです。
そんな光景を先日目撃したので、これは記事にする価値があると思って、今回は自体重上半身運動の腕立て伏せに関して書くことにしました。

まず、腕立て伏せってこういう運動です。

手幅は下の写真2つが一般的です。

image1
image2

そして一番下に降りたとき(胸が地面に着くとき)に、掌底が乳首のラインに来るように置きます。また、そのボトムポジションではひじは手首の真上(辺り)です。
胸がつくほど下げるのは可動域の可能性を無駄にしたくないから。掌底を乳首のラインに置くのは上半身の重さがくれる負荷を十分に腕にかけたいから。肘を手首の真上にするのはシアロードが起こるのを防ぎたいから。

そして、下の3つのビデオは、腕立て伏せ中に起こりうる現象です。



まず上の2つは、手を顔の前に置くことで、腕が支え起こさなければならない上半身からの負荷が小さくなるため、筋力がない人は、腕立て伏せの「下がって上がってくる」という指導者から指示されたタスクをこなすためにこれでやろうとします。そして、1つ目のビデオのようなフォームで開始して、だんだん2のようなフォームになります。これらのフォームになるのを防ぐために、指導者が体と手のポジションと動作時の姿勢を指定したうえで腕立て伏せをやらすと、筋力のない人は3つ目のビデオのフォームになります。肩を先に挙げてその後他の体の部位を挙げたほうが、腕にかかる負荷が少ないからです。この3つ目のフォームを見て、フォームを理想的なものに戻すために「あぁじゃない、そうじゃない、こうやるんだ」といい続けても無駄です。筋力がない人は、その体と手のポジションではどうしたって指定された姿勢をキープできないのです。つまり、それらのセリフはクレームです。指導ではありません。膝を曲げて地面につけることで腕にかかる負荷を減少させる(筋力がなければこのポジションですら3番目のビデオと同じように起き上がってきます)、指導者が動作中に胸横辺りを保持して持ち上げる、または胸周りにタオルを通してそれを持ち上げてサポートしてあげるなどの工夫をしてあげなければなりません。さもければ、理想的なフォームでなくても、とりあえず起き上がる、ことで妥協をして、その後の筋力向上とともにフォームを正していけばいいのです。そのできない瞬間にとやかく言われたって、言われている方は困惑し云われの知らぬ罪悪感に襲われるだけです。

腕立て伏せのような超一般的な運動でさえ教えられない指導者に、スクワットやデッドリフト等のより複雑な動作を教えることができるのでしょうか?
僕に言わせれば無理です。教えていたとしても、応用力のない、型にはまった指導しかできていないはずです。

「指導する自分」「スペシャリストに見られている自分」に悦に入っている場合ではないのです。
指導者の能力不足は、必ず指導対象者の体に負の力を持って還っていきます。
指導者が高レベルの知識、技術を持っているというのは、非常に重要なことなのです。

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