2015.7.16

1番最初に教えるウェイト運動は何か?

“ウェイトトレーニングをこれから開始する選手やクライアントに対して、初期段階で1番最初に行う最も適切な運動は何なのか?”

この問いに対して答えを出すためには、
“初期段階のトレーニングを経た後にどのようなプログラムを立てて次のレベルに達したいのか?”
を具体的に思い描く必要があります。

例えば、スクワットやデッドリフトを取り入れて、その後にクリーンやスナッチを取り入れる予定であるならば、それに適した体作りの準備を初期段階からする必要があります。

つまり、スクワットとデッドリフトを美しく行うために必要な筋力と柔軟性はどこにつければいいのか、そしてその後できるだけ効率よくクリーンやスナッチを取り入れるために必要な筋力と柔軟性はどこにどうつければよいのか、というのを知っていれば、おのずと初期段階で最初に教えるべき運動は見えてきます。

例えば僕の場合、1番最初に教える運動は自重のリバースランジとRDLです。そこで見るべき各箇所を十分に確認し、その結果次第で次に並ぶ運動は決まります。何の問題もなくそれら2つの運動が理想的なフォームで実施できるのであれば、降下の可動域を増したリバースランジを取り入れて臀部の筋力を集中的に確認し、それも問題がなく実施できれば、肘を伸ばして重りを頭上に掲げた状態でリバースランジを実施させ、その運動もフォームが崩れるようなことがなければ、リバースランジを肩の上に重量を抱えた状態で行わせ筋力をつけるための運動を始めます。RDLも理想的なフォームでできるということは、ハムストリングに十分な柔軟性がありデッドリフトのボトムのポジションも取れるということなので、即座にプログラムにデッドリフトも取り入れます。そして腰と臀部の筋力強化を開始して、上記したリバースランジも駆使して十分な筋力を確認してからスクワット運動を導入開始します。ただ、これはベストケースシナリオで、もしここに至るまでの筋力も柔軟性も見受けられなければ、それらを育てるために時間を十分にかけて次のレベルの運動の取り入れ準備をします。
僕が上記した既定の運動を指導するという地点にたどり着くには
“なぜデッドリフトなのか?”

“なぜスクワットなのか?”
そして、
”なぜクリーンやスナッチなのか?”
を理解しているという事実もあります。

十二分に安全性や効能を理解しているからこそ、他人の体にそれを与えられるのです。
かつて、「ポケットの理論」というブログも書きましたが、トレーニング開始時点で、その指導対象者が体の中に持っている要素が多ければ多いほど、指導するこちらとしてはより高いレベルで指導がプログラムできます。逆に、ポケットの中に入っているものが少なければ、必要な要素を一つ一つ取り入れるという過程も丁寧に踏まなければなりません。

我々S&C指導者は、ただその場限りの”教えたい”という希望やエゴだけでは指導を開始できません。
スクワットを教えたい、クリーンを教えたい、ジャンプ動作を教えたい、という希望は、欲望のみで成り立っていては迷惑になります。その希望の後ろには、そしてそこに至る過程には、「指導者の知識や技術」に、そして「指導対象者の身体能力」に、それ相当の準備ができていなくてはなりません。

良くも悪くも、指導の質は指導対象者の体に現れます。
指導者として十二分成長する、そしてその自分の成長を証明するために指導対象者に丁寧な身体的準備を重ねる等、様々な形で「指導する準備をする」手間だけは、決して怠らないでください。

正しくウェイトトレーニングを実施する方法に興味があれば、いつでも僕にご連絡ください。

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