2017.8.1

運動テクニック修正には”妥協”が必要

全ての運動には健康を大前提とした理にかなったフォームがあって、その理想のフォームを指導対象者に実践させるためには事前に筋力と柔軟性を適切な場所に適度につけることが必要だ、ということは幾度となくブログで述べています。

では実際にそれらフォームを指導対象者の体に植え付けようという時に、すべてを一度に入れこもうと思うS&C指導者は傲慢です。当然一度に習得してくれればそれに越したことはありませんが、そんなラッキーなことは滅多にないので、その場合、何を最優先として取っ掛かりをつけるか、という合理的な選択も指導者はしなければなりません。

 

例えばリバースランジという運動があります。GS Performanceの運動指導の中で基礎中の基礎となる運動です。

Reverse Lunge

自重でやる時のフォームの基本解説としては、
1:腰幅で立って、両手をまっすぐ前に出して、踵から肩まで一直線にして直立する。
2:前に残す足の踵に体重を残したままゆっくりの後方に片足を下げて、後方に下げた足の膝が地面につくまでゆっくり下す。
3:2の終了時、両足は未だ腰幅、両手は前方にまっすぐ、前足の踵に体重は残り、後足の膝と肩は一直線。
4:3のポジションから、前足の踵に体重をかけて、その前足のケツを使って立ち上がって、1のポジションにもどる。
5:2から4を逆足で行う
6:動作中呼吸は立ち上がったとき
です。

 

この運動を指導する際、指導対象者に適度な筋力と柔軟性が下半身の特に臀部とハムストリングになければ実施の選択をすることはできません。

それら筋力と柔軟性があるという仮定で指導を開始した時に、上記した1~6のすべての項目を完璧に指導しようとするのは非常に難しいです。先にも述べたとおりに、できればそれに越したことはないのですが、それを指導対象者に求めても、多くの場合うまくいかないものなのです。

では、序盤は何に重きを置くか、を指導者として選択しなければなりません。

GS Performanceでは、まず腰から下の動きを指導対象者の体に植え付けることを試みます。だから、腰から下が正しい動作をしてくれているのならば、どれだけ上体が前傾していようが構いません。腰から下の動作が体に入った後にその前傾を指摘して改善すればいいのです。

ただ多くの指導者が、その指導時の取捨選択をせず、すべての動作を完璧に整えようと無理難題を指導対象者に要求しているようです。結果、全てが体に入り込まずに、指導者と指導対象者両者が深い困惑に陥ってしまいます。

指導対象者に信用できる筋力と柔軟性があるという確信があるならば、その筋力と柔軟性が対応できる負荷を提供し、プログレッションもその指導対象者の身体能力が対応できるスピードを選択する。

そのともすれば妥協とも呼べるような工夫を指導時に取り入れられるように、多様な方向から効率よく目的を達成できるような指導力を身につける努力をしていきましょう。

そのためには、各運動の奥にある真理をしっかりと理解し、あらゆるエラー動作の可能性を選択肢として頭の中に持っていると、指導対象者を困惑に落とし込むようなS&C指導者にならずに済みます。

 

全ての動作とそのエラー動作には必ず理由があります。その理由を明確に理解し、ピンポイントで改善できる指導者になるためにも、常々運動動作を診るときに「なぜ」という疑問を頭に置いておきましょう。

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