2012.1.6
やっぱり大事なのは才能
何の運動のつもりで行われているのかはわかりませんが、使われているのは肩、背筋とバイセプス。ということだけはわかります。
彼がやっていることを否定する必要もないし、この運動を行っている彼が人類史上最も足の早い人間という事実も曲げられません。
では、
Q: 足が速くなるためにこの運動をしなければならないのか?
A: もしかしたら。
Q: 彼はウサイン・ボルト。ということはこの運動は効果があるのか?
A: もしかしたら。
ということです。
つまり、こういうビデオを見ると、
「ボルトがこれをやっているんだから、これをやるべきだ!」
と思う人がたくさんいます。
例えば、これがテレビのCMとかで流れたら、明日から陸上選手の多くがこれをやり始めるということです。
かつてイチロー選手がものすごい肩の柔らかさを強調するようなラットプル運動をテレビで見せたあと、あたかも「野球選手のやるべき運動はこれだ!」
と、その動作を野球選手が頻繁に擬似するようになったのがいい例です。
ただね、忘れちゃいけないことは、
あなたは
ボルトでもイチローでもない・・・
ということ。
また、
彼らはスポーツ選手として超一流であっても、トレーニングの知識が一流であるということではない・・・
ということ。
だけど、こういうのをみると
「なるほど!!!」
とか思っちゃう
自らを「トレーニングの専門家」と呼んでいる人材も多くて、結構我々は迷惑をこうむるわけです。
先にも言ったように、彼ら超一流選手のやっていることを否定をすることはしません。
正しいかもしれないし、彼らの体にとっては効果的なのかもしれない。
ただ、科学的な観点から言えば、それらの運動と、彼らの運動パフォーマンスレベルとは深く関係ありません。
彼らは生まれながらにして、超一流の運動選手になるものを持っていたのです。
心身ともにね。
一流選手のやっている運動を見て、
「この間こういうビデオ見たんですけど、加賀さんはどう思います?」
とか、
「あの選手のやっているトレーニングと違うんですけど、なぜですか?」
とか、
結構よく言われます。
答えは決まっているんです。
「どうも思いません。あなたが僕とやっている運動のほうが健康的で効率的で効果的ですから安心してください。」
「確かにその選手のやっているトレーニングとは違います。理由は僕のトレーニングは科学に基づいているからです。」
科学的なS&Cトレーニングプログラムによって、あなたの生まれながらに持っている限界まで、身体能力を向上させることは確約できます。
でも、そのトレーニングがあなたを一流選手にできるかというと、ほとんどの場合無理です。
それは、あなたにそこまでの才能がないからです。
どうか、一流選手がやっていることに惑わされないで下さい。あの人たちのやっていることで科学的に正しいことは数多くあります。ただ、あの人たちは「体のプロ」ではありません。なんだかよくわからないことも行っているということです。
もう一点。
科学的に正しいことをやっているS&Cコーチの数も限られています。
「専門家」といわれる人たちにも「専門知識」を持っていない人がたくさんいます。
だからこそ、一流選手でさえ科学的には疑問符の残る運動を行っているのです。
上に挙げたビデオが、世界中には本物の「体のプロ」が極端に少ないことを証明しています。
才能の前に努力が来ることはありません。
でも、努力をしないと才能は無意味なものになります。
あなたの持つ才能の限界を感じたいのならば、科学を信じてください。
2012年も、僕は文句ばかりを言い続けます!