2013.12.26
S&Cプロフェッショナルになるために必要な要素 ~Thank You and Good Bye 2013~
今年最後のブログとします。
今回は、Strength&Conditioningのプロ指導者になるために必要な要素を、私の私見を多く含め、記述したいと思います。
まず、Dr.John Garhammerが1998年にNSCAのジャーナルに載せた”Do You Qualify to Be a Strength and Conditioning Professional?”という文献を読んでください。日本語訳も出ているようですが、英語で読んでください。というのも、このくらいの英文が読めないならば、S&Cの世界ではマトモな人材として生きていけません。以前も私のブログ内で書いたことがありますが、「英語の文献を読める」という能力がない限り、多岐にわたる重要な専門知識や情報は到底得ることができません。また、その「英語の文献を読める」という能力を得ることから逃げ続け、ごまかしながらどうにかやり過ごそうという人材には、他人のスポーツ競技での成功はもとより、他人の健康に関わるプロになることは許されません(上記したように、今回のブログ記事には私見が多いです)。
この文献にあるように、学業として必要な要素も多くあります。これらは、日本の教育機関においても習得することができると思うので、将来的にS&Cのプロを目指す方は、懸命に基礎知識と学位を取得してください。
また、この文献の中では、S&Cのプロが技術や経験として得ているべき要素も複数書かれています。その中で、私が最も必要だと思う事項は、「デモンストレーション能力」だと思います。
適度な「知識」「身体能力」「経験」がない限り、このデモンストレーションはうまく行えません。そして、指導対象者にデモンストレーションが上手に提供できないということは、具体的な運動方法を教えることができないということです。例えば、腰をピシッと伸ばして行わなければならない運動なのに、指導者がデモンストレーションで腰をグンニャリ曲げて行っていては、まず動作が伝わらないし、指導時の説得力もないでしょう。だから、S&Cプロフェッショナルには、多岐に渡る方法での日常的な自己の身体鍛錬が必須なのです。
また、「走る」「飛ぶ」「止まる」「方向転換する」「投げる」「蹴る」等の一般的運動動作を見せる時、???(笑)…的なデモンストレーションしかできない場合、「こいつ、なんだか偉そうに俺に指導しようとしてるけど、大丈夫か?…」と指導対象者に思われてしまいます。意外と子供たちなんかは素直だから、その時点で大笑いが起こるという可能性まであります。
指導者としてナめられないためにも、S&Cコーチにとって、デモンストレーション能力というのは非常に大事なのです。
で、これはセンスや幼少期からの経験に依存することもあるので、現時点で、何やっても動きがギクシャクしちゃうよなぁ…とか、なんだか知らないけど、俺が動くと周りがザワつき始めるなぁ…と感じてしまっている人、ある程度の覚悟と諦めが必要です。大丈夫です。かつて、「ボディーコーディネーション撲滅委員会会長」とあだ名をつけられながらも、現在S&Cの業界でどうにか飯を食っている人材もいます。本気で諦めなければいいのです。
身体能力関連で言うと、全身が無駄に強いということも必要な要素です。
デモンストレーションの機会以外でも、コーチはおりを見て選手たちに魅せつけなければなりません。英語で言うところの”Showing Off”です。時たま自分の無駄に強いところを魅せつけることで、選手たちのS&Cプログラムへの尊重が高まるということも十分にあります。そのためには無駄に上腕や腹筋を鍛えておく必要があるし、胸筋が何よりも大事であることは言うまでもありません。
日頃は他人がそんなことをやっていたらとにかくバカにする自分の根性を差し置き、何かあった時のために、アクロバティックな動作ができる体を作っておくことは、選手たちの尊敬を集めるためには重要です。
何度も記していますが、「無駄に強い」がキーです。
紹介した文献内には書いていませんが、脳力としては発想脳力も必要です。
既定の物や初めから準備していたプログラムではなく、その場面場面に合わせて指導プログラムを良い方向に変化させていくための瞬時の発想力は、実際の現場では非常に重要です。
これは、プログラムだけではなく、選手たちとの関係作りにも多大な影響を与える能力だと思います。人間は弱い部分を出さないわけがない。だからこそ、何か選手たちがプログラムや指導方針にネガティブな反応を見せたときには、その場においては最もふさわしいと思われる態度を指導者は見せなければなりません。それも発想脳力です。
ユーモアのセンスも大事です。
たまに面白いことをして選手たちにエンターテイメントを提供するのも指導者の役目です。ダウン・ウィークに少し楽しいプログラムを取り入れてあげる余裕も、このユーモアに入ると思っています。また、これも発想脳力に入るのでしょう。
(指導対象者の動きの弱点を見抜き、それを的確に指摘できる発想力もこれに入れたいのですが、この分野は多岐に渡りすぎるので、自分の考えを上手くまとめることができたら、この点に関してだけのブログ記事を書きたいと思ってます。)
曲げない信念を持つ強い心も大事です。
これに関しては、上記したすべての物の積み重ねにより、自分自身に対する確固たる信頼と自信がついた時に自然と出てくるものなのかもしれませんが、指導者には必ず持っていて欲しいものです。この「信念」すら持たない指導者が、選手にとって信頼や尊敬を向ける対象になることはないでしょう。
S&Cコーチは素晴らしい職業です。
この分野のプロを目指す方、および、様々な形で人体とその健康に関わるプロを目指す方、2014年を有意義に使い、高いレベルの人材になれるよう、努力してください。
僕も、人に偉そうに言ってるからには、より高みをめざし継続的に努力します。
今年最後だったので、カラフルなブログにしてみました。
来年も、よろしくお願いいたします。