2022.6.29

ナメられる、人間だもの…

先日、かつて指導させていただいていた元プロアスリートの方から久々に連絡をいただいて、しばらく電話で話すことができました。

今は一般企業に勤めていて、現役時代に結婚した奥さんとの間にはお子さんもできて、家族と共に楽しく暮らしていると聞き安心しました。

ただ現役を終えてすぐの頃は、親しいと思っていた人や信頼できると思っていた人そして面倒を見ていた後輩などが自分から距離を置くようになるなど、人間関係でかなり悔しい経験もされたようです。

 

今回のブログは、そのことについて書きます。

 

 

 

プロアスリートや芸能人のように、外から見て華やかな世界にいる人の周りには多くの人が集まってきます。

企業から商品が無償で提供されたり、偶然出会っただけの方がいつしか食事をごちそうしてくれたり物を買ってくれるようになったり、ただただ友達になりたがる人が殺到するなど、特別な存在だからこそ起こる経験をいくつかするはずです。

先述した元プロアスリートの方も、自分を特別扱いしてくれる人たちにたくさん出会えたようです。そして中には頻繁に合って食事をするようになった社長や、遊びに行く仲になった芸能人など、自分が特別な場所で特別なことをしていることを実感できるきっかけになる出会いもいくつかあったようです。

しかし、選手としての衰えにより自分の選手生活の終わりが近づいてきたとき、今まであった人間関係が少しずつなくなっていくことにも気づいたようです。

「そんな中でも加賀さんは変わらなかった」

そう言ってくださったんですけど、当然私はただS&Cのプロとして指導対象者の役に立つために懸命に尽くしていただけなので、「お金さえもらっていれば俺はいつまででも君のために懸命に指導してたし真摯な態度を削ぐことはなかったよ。お金お金…」と返しておきました。そしてこんなことも伝えました。

「人が離れていくのは仕方ないじゃない。だって特別だった人が特別じゃなくなるんだから。」

 

 

実はアスリートから同様の相談や愚痴を聞くことが度々あるので、そのたびに私は彼らに同じことを伝えます。

 

人が人と関わっていると、信頼されたり、好かれたり、面白がられたり、ありがたがられたりするし、一方で、警戒されたり、嫌われたり、怖がられたり、疎まれたりすることもあります。そしてそれって、その当人の責任だと思っています。でも人って、その対応をする側を責めたくなるんですよね。

「あの野郎ナメやがって…」
「あいつあれだけ面倒見たのに恩をあだで返しやがって…」
「都合のいい時だけ頼ってきやがって…」

色々な対人関係でのイライラって起こりますけど、それってナメられたり、恩をあだで返されたり、便利に使われる人のせいです。その人がその程度の人なんで、人はその人に対してそういう態度をとるんです。

だから、怒りの矛先を向けるのであれば、それは自分なんです。そしてそれが悔しかったら、自分が向上すればいいんです。

 

私自身、本当に大した人格を持っていないんで、多くの場面でナメられます。そんな場面が多すぎるもんですし、しかも自分の心の成長が遅いもんですから、人に対する怒りは未だに止みません。ただ最近はそれと同時進行で、もっと自分自身を向上させなきゃいけない、と褌を締めなおすきっかけにもしています。

簡単に言えば、「見返してやる」、でいいのです。どんな苛立ちでも、自分が伸びるきっかけにできればそれに越したことはないじゃないですか。

 

人から悪口を言われたとしたら、自分にはそれだけ弱みがあったんです。
人から騙されたとしたら、自分には隙があったんです。
人からの連絡が途絶えたとしたら、自分にはそれだけの価値しかなかったんです。

 

相手を責めても仕方ないんです。人の心なんですからコントロールなんてできないです。もしコントロールしたければ、自分の価値を上げるしかないんです。先述の元プロアスリートで言えば、プロアスリートだった自分以上の社会的な存在価値を自分で築くしかないんです。

例えばですけど、孫正義さんや麻生太郎さんって、人から直接的に邪険に扱われることってまずないと思うんです。なぜかというと、社会的にそれだけ大きい存在からです。しかしながら、そんな彼らであっても、きっと人間関係での苛立ちはゼロではないはずです。

でも結局、自分という存在価値が上がれば、自分にナメた態度をとる人って減るはずです。たぶん…

 

 

そして電話で彼にはこんなことも伝えました。

「今まで近くにいた人が離れたってなら、それはそれでいいじゃん。自分の存在価値が上がって、万が一またその人が近づいてきた時には、自分の意志でその人との距離感を決めればいいんだよ。そしてその決定権を持つために自分を伸ばす努力をすりゃいいんだよ。」

 

有名だったりお金持ちだったり血筋が良かったり、いろいろな理由で人って寄ってくるようです。
SNSなんかを見てると、スゲェ優秀な専門家が特殊で価値のあることを発してても、その分野のド素人のただの著名人がそれに異を唱えるような情報を発したら、そっちを信じちゃう人の方が多いって傾向がありますよね。

一般社会では、本質よりも肩書のほうが光るんです。もうそれは仕方ないじゃないですか。

だから、自分にも立派な肩書がつくように努力しよう、と心に決めて人生を邁進するのもアリでしょう。

 

 

たぶんですけど、これからも私は幾度かはアスリートに同様の話をするのだと思います。
そして、私も私の周囲から消えていく人たちや、私をナメる人たちをたくさん経験するのだと思います。

きっと多くの皆さんも同様です。

 

合わない人には会わない。
合わない人に合わせない。

それでいいじゃないですか。

 

私は、こんな自分でも価値を感じてくれる人には一層の価値を見るようにしています。

より多くの人にとって価値のある人間になれるよう、そして何よりも、私の指導を受けに来てくださる方々がちゃんと得できるよう、これからも精進します。

 

アスリートの皆さん、自分の人生のピークを選手人生の後にする工夫って、きっと選手時代でもできますよ。

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