2011.7.29

Appearance vs Performance

エクセサイズとスポーツは違います。一般的にはまったくと言っていいほど同じです。
ただ、運動科学的用語ではまったく違います。

前者の目的は健康、後者は勝利です。

だから、Exercise ScienceとSports Scienceは違うのです。

今回の題材であるAppearance vs Performanceはこのエクセサイズとスポーツの違いに深く関係があります。

スポーツ選手でもないのにジムに行ってトレーニングする人の目的は「健康」であり、より多くは「見た目」ですよね。
正直、S&Cコーチではあっても、真剣にスポーツをすることのない私がトレーニングする理由の35%もこれです。
レクリエーショナルリフターや趣味が運動と言う方の愛読書である雑誌「ターザン」で特集されるのもこれが主ですし、夏前になると「腹筋」の特集が組まれるのは、薄着になり、ビーチやプールに繰り出す機会が多くなり、つまりは「露出」する機会が多くなるからですよね。

ですから、私が前回のブログで、上半身運動(特に単関節運動)が「自慰行為」であり「男のロマン」であるというのは、結局、付加価値が自分にしか返ってこない行為ではあるが、それをすることで発生する「他人との違い」により「優越感」を得ることが出来る行為であると言う理由です。

スポーツ選手は大体において、一般の人よりも「いい体」をしています。
日々行われるトレーニングがそれの原因なのは言うまでもないですが、彼らはそれを目的としてトレーニングしているわけではありません。
彼らは「試合で勝つ」ためにトレーニングをしているのであって、その結果「いい体」が付いてくるのです。
だから、結局はそのスポーツに特化した「いい体」であることが多いです。

我々S&Cコーチは、その運動選手が「勝つ」ために必要とする体作りをするのであって、それがために「ファンクショナルトレーニング」を用いるのです。
その結果がより高いレベルのパフォーマンスとなるのであり、
だからこそ、我々は真剣に二頭筋や三頭筋の大きさや形などは気にしないのです。
そして、野球選手なのにバイセプスカールしかしない奴や、ましてや、その人が野球選手と知りながらも、それら運動を「真剣に」指導しちゃうコーチやトレーナーを馬鹿にせざるを得ないのです。
だって、パフォーマンスとは離れた運動ですから。 

ただね、ただひとつ、PerformanceではなくAppearanceが勝敗につながるスポーツがあります。
それがボディービルディングです。
彼らは真剣に二頭筋や三頭筋の大きさや形を気にする必要があり、腹筋の左右対称さ加減を真剣に気にしなければならないのです。
だって、それが勝敗に深く関わるのですから。

私の父は60~70年代のボディービルダーでした。
そして今でも毎日のようにジムに行ってはおしゃべりと時たまトレーニングを楽しんでいます。
私は子供のころから毎週のように父親とジムに行き、父の仲間のトレーニングを遊びながら見ていましたから、そのころの女子日本一の選手やシニアのトップボディービルダー等の運動する姿を当然のように見ていたのです。
そしてそれが、僕が今の仕事に就きたいと思うようになったことにつながったことは言うまでもありません。
彼らの運動するときの気迫や試合前の食事調整、そしてその試合前のストレスに満ち溢れ、話しかけられもしないその雰囲気は、とにかく小さなころから肌で感じていました。
未だに真剣にボディービルディング競技をしている人には頭が下がります。

ただね、彼らと僕のウェイトトレーニングに対する心構えは、前述したように、まったく違うんです。
そして、トレーニング方法もまったく違うし、ボディービルディングに特化したウェイトトレーニングはスポーツ選手には「効率的かつ効果的」なフィードバックを与えません。

もっと言えば、一般の人を相手にしているパーソナルトレーナーが、クライアントに真剣に上半身単関節運動をさせる理由すら見出せません。
確かに先にも述べたように、「見た目」の向上は運動をするモチベーションでもあります。
でも、一般人相手の場合、それが単関節運動である理由はどこにもないのです。
むしろ、知識があればもっと効率の良い運動を思いつくはずだし、その知識があれば、恥ずかしくて、お金を払ってまで運動指導をお願いしてくれているクライアントに、真剣に上半身単関節運動など教えられません・・・
詐欺です。

人間が健康であるためには、土台がしっかりしていなければなりません。
つまりは、本当に「健康」を目的としたプログラムを組むならば、クライアントがジムにやってきて一番最初に与えなければならない運動は「ファンクショナル」な下半身運動で、それらを一通り終わって、やっと上半身に入っていけるわけです。
ジムに着いて、すぐにベンチに向かい、その後バイセプス、そしてクッチャべり運動に入り、サウナに向かうのは、僕の父親の世代だけ、つまりは60~70年代のボディービルダーだけにとどめてほしいのです。

忘れてはならないことは、
一般の方ですら、「日常生活」という「パフォーマンス」を要求している、
と言うことです。

僕の父でさえ、リバースランジをこの前始めました。

自らを「健康のプロ」としている方々。
他人の体に勝手な運動を施し、その行為までを自らのための「自慰行為」にするのはやめてください。

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