2014.10.16

コンディショニングプログラム作成に関して(すごく抽象的ですが…)

S&Cプロフェッショナルの仕事の一つとして、コンディショニングプログラム作成と指導があります。

各スポーツに適したエネルギーシステムを生み出すというのが目的なのですが、僕は常日頃から「効率的かつ効果的」を指導のモットーにしているので、ただエネルギーシステムを改善するだけのプログラムなど作りません。
どんなアホな指導者だって、エネルギーシステムを改善することはできます。ただひたすら同じことをずっとやらせておけばいいのです。ただ、そんなバカバカしいほどに時間と選手の体力を無駄に削ぐようなことはプロとしてできないので、僕はできる限り短い時間の中で、エネルギーシステム改善を目的としたプログラムに「スプリントスピードを向上させる」「方向転換能力を向上させる」など、S&A(スピード&アジリティー)の要素も取り入れます。

僕が高校時代にバスケットボール部に所属していた頃、夏の時期に体育館内を数時間ジョギングするという方法で持久力を付けて(付けされられて)いました。確かにこの方法であれば、一般的に言われる体力がつき、心肺機能が上がります。結果、試合中も疲労しにくい体になるのでしょう。しかし、数時間ただ走るだけでは時間の無駄であり、バスケットボール選手にとってもっと大事なバスケットボールの練習時間はより制限され、しかもそのバスケットボールに必要なスプリントスピード向上には全く役立ちません。これをやるのであるならば、ひたすら試合形式の練習をやり続けるほうがバスケットボール選手としてのレベルを上げるには効率は高いでしょう。
しかし、S&Cプロフェッショナルはスポーツコーチとは違う役割があるので、「試合形式」のコンディショニングは行いません。
では、今のS&Cプロフェッショナルとしての僕であるならば何を行うか?
もしそのバスケットボールチームが僕に2時間を提供してくれるというならば、15分程のルーティン化したウォームアップドリルを行い、その後おおよそ45分くらいかけてS&Aトレーニングや跳躍力を向上させるためのプログラムをこなし、その後30分ほどのスプリントを織り交ぜたコンディショニングトレーニングを行います。それで1時間半ですから、次の30分は選手の好きなように使ってもらいます。つまり、ストレッチしたい選手はストレッチすればいいし、シュートを打ちたいのであるならばシュートを打てばいいし、帰りたいならば帰ればいい。そして僕は選手たちにこう約束するのです。「たった1時間半の苦しい時間だ。しかもその間には休憩もあるし、休憩中には水分も当然与える。だから、自分の番が回って来た時には自分が出せる100%を出してくれ。」
この約束があるからこそ、選手たちに怠惰や妥協が見えた時に、キツイお仕置きを与えられます。そしておおよその場合、選手たちは納得してそれを受けてくれます。しかし、上に挙げたただ走らせるだけのプログラムでは、選手たちはやらされている間中「被害者意識」しか抱きません。
この精神的な面に関しては色々な意見はあるかもしれませんが、少なからず僕のそのプログラムは、ただ走り続けるプログラムよりは確実に効率がよく効果的なプログラムとなるでしょう。

僕の考えでは、コンディショニングやS&Aプログラムこそ、S&Cコーチの知識と想像力の見せ所だと思っています。
与えられた限られた期間の中で、どれだけ効率よく効果的なプログラムを作り指導できるかは、S&Cプロフェッショナルとしての能力を示すための機会なのです。そしてその機会を生かすためには、常日頃からスポーツの種類と選手のレベルを念頭に置いて運動指導する必要があります。

正直、このブログ記事を通してコンディショニングやS&Aプログラムに関して説くのはこれが限界のような気がします。
より詳細に関しては、いつか機会があれば実技を織り交ぜた講習を開催してその時にでもと思っています。

ウェイトトレーニングと同様に、色々なことを理解しているからこそ、効率的かつ効果的なコンディショニングプログラムを作れます。目の前にいる選手たちに適したレベルが何かを把握し、目標を設定して、できるだけ効率良くその目的にアプローチする。
運動選手が運動選手でいられる時間は限られていることを深く理解し、効率がよく効果が高い指導に当たってください。

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