2015.1.28

スクワットとその深さと垂直跳びとS&Cの限度

端的に言えば、
Power = Force x Velocity
という方式があるので、スクワットでの最大挙上重量が向上すれば、垂直跳びでの跳躍力も向上すると言えます。

ただですね、筋力だけの話ではないんです。
正しくスクワットをトレーニングに取り入れて、理想的な場所に筋力も柔軟性も十分に付けば、跳ぶときのメカニクスが変わるんです。結果、向上した筋力も手伝って垂直跳び数値が上がるんです。

跳ぶときには、考えるよりも先に、体が勝手に使いたい箇所を使いたいように使います。それが、瞬発的に起こる動作に対しての脳みその指令だからです。例えば、スクワットやデッドリフトなどの筋力運動に対しては、脳みそで考えて、重量に加減を付けて無理やりにでも体が使いたくないまたは使いづらい場所も使おうすれば使えます。しかしながら、瞬発的な動きではそれは無理という事です。ではどうすればいいかというと、瞬時に使えるように、理想的な筋力と柔軟性を事前に準備をしておかなければならないという事です。
そのための筋力トレーニングなんです。
継続的な筋力トレーニングによって、関節に負担をできるだけかけないで最大の可動域を使い最大の重量を扱えるようにする、その結果が、瞬発的に起こる爆発的な動きに大きな爆発力と比較的健康的な着地時の衝撃吸収能力を与えるのです。
で、それを見てとるためにも、多くのS&Cスペシャリストは垂直跳びをテスティングに含めるんです。
それがよく見てとれるのが下の2つのビデオです。
上のビデオがまだトレーニングの各動作に不慣れな頃の垂直跳び。そして下のが十分にトレーニングを積んだ後の垂直跳び。


跳ぶ直前のしゃがみの深さが違うでしょ?
この跳ぶための効率良い準備方法を、S&Cスペシャリストがウェイトトレーニングプログラムによって与えてあげるんです。
当然、
”垂直跳びの数値が、スプリントや方向転換のスピードに強い関係性を持っている、と頭のいい科学者が言っている。だから、垂直跳びの数値が上がるという事は、それらの動作の向上にもつながる”
という考えを持って、選手に対して垂直跳びの数値を向上させるプログラムを作成する、そして、そのプログラムの成果を見るために数値を測る、とも言えます。
しかし、それだけではないという事です。

ここで勘違いして欲しくないのは、垂直跳びの数値が上がると陸上競技等での跳躍飛距離も上がるかというと、それはその可能性が高いというだけで、”そうなんだ!”というわけではないという事です。
なぜかと言うと、陸上競技やバスケのダンクは競技での動きであって、その動作へのウェイトトレーニングの効果は、その選手当人が努力と工夫を持って繋げてもらう必要があるんです。また、競技コーチに対しては、我々S&Cコーチは、理想的な競技動作を選手たちに指導しやすいように改良をしているんです。

再度言うと、我々S&Cスペシャリストは、ウェイトトレーニング指導によって、その選手に健康的な筋力と可動域を与え、その結果、競技中の瞬間的な動作を繰り返した時でも健康的かつ効率的に活動する怪我をしにくく爆発的な力を持った体を与えるんです。ただそれだけです。それが競技力向上に繋がる手助けにはなるけれど、だからと言って、直接的に”繋がる!!!”とは言い難いんです。なぜかと言うと、それは選手自身のコートやフィールドでの努力と工夫次第、という事だからです。

ただ、僕の育てたバレーボール選手は、全日本男子バレーボールチームよりも平均ジャンプ力も方向転換能力も高かったし、野球部投手陣は球速も球威も向上させて、全日本に選ばれた選手まで出した。確かに、選手個人の才能に起因するところも大きいけれど、他の選手に比べて僕のプログラムを行った選手だけが極端な身体能力の向上を見せ、しかも競技力向上にも繋がったところを見ると、きっと僕のプログラムが彼らの競技力向上を手助けした部分も大きいだろう、と考えられなくもないですよね?

S&Cコーチは、アスリートがより良いアスリートに成長するのを手助けする。ただ、より良い競技者になるかどうかは、残念ながら我々が直接的に関するところではない。
S&Cスペシャリストができることには制限がある、ってことです。

河森博士が彼のブログ内でスクワットの深さの重要性を述べたのもこういう事なんです(と、S&Cコーチの俺は解釈します…)。

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