2016.9.19

S&C指導者のシーズンを通した構え方、及びS&Cトレーニング導入のススメ

プロ野球は佳境に入り、大学野球の秋シーズンはリーグ戦の中盤に差し掛かり、その他大学スポーツはシーズンの最も大事な時期をまもなく迎える時期を迎えます。

今この時に悔しい思いをしている選手たちも多くいるはずですし、来る大舞台に向けて気を引き締めている選手も多くいるはずでしょう。

今回のブログでは、試合期終了を迎える準備として、運動選手がそしてS&Cスペシャリストが、長い1年を終え新年そして来期に向けてどのような準備をするのが理想的なのかを書いてみます。

 

まずこのブログ内では、1年のうち最初の試合期が開始するのは春で、2回目の試合期は秋に来るという前提で書きます。また、プロ野球のように春から秋にかけてずっとシーズンという場合でもここでの例に当てはめることは可能だと思います。

 

まず、秋シーズン終了から話を始めましょう。

試合期が終わった直後はポスト・シーズンと呼ばれます。大学野球だと早いチームは10月後半、その他の大学スポーツチームで遅いところだと新年明けからにこのポスト・シーズンに入ります。その期間は数週間から数か月です。

その時期に何を行うかというと「休息」です。その休息をどのようにとるかは指導者の指導方針によります。完全にオフにするのもありだし、アクティブレストと言って軽い運動を行いつつも基本的に練習はオフというのもありです。

僕が大学で大学スポーツチームを指導していた時には、そのチーム指導者の意向を取り入れつつ、多くの場合はまず2週間ほどの完全オフを取り入れ、その後に週2回程度の頻度で低強度の基礎トレーニングテクニックをおさらいするためのウェイトトレーニングを実施させていました。基本的に面倒くさいトレーニングの時期ではあったと思います。なぜなら、軽い重りを扱うプログラムではあるのですが、回数は比較的多いし、フォームに関してはとやかく言われるしで、実際に行う方にとっては快適なトレーニングでは到底なかったと思います。例えば、スクワット動作の基本的なアイデアと動作パターンを体に植え付けるために、ポーズFSQという運動を取り入れます。セイフティーレールの高さを高めに設置し、スクワットのボトムの位置でバーをレールに乗せられるようにします。そして実際にボトムでレールの上にバーを置き、一度モメンタムを0にすることで、エキセントリック部とコンセントリック部を分け、各動作パターンの修正をするのです。重りは本当に軽いものでしか実施できません。またデッドリフトもいつもよりも徹底して肩上がり&地面とウェイトの接地時の音0をルールとし、徹底して理想的なフォームでの上昇動作とエキセントリック部の強調を行います。当然、重量が重いと正しく実施できません。それら以外にも、この時期だからこそ実施するべきプログラム展開を取り入れ、軽い重りを扱わざるを得ない運動選択であるため強度自体は低いのですが、その後の時期で必須となる健康的な運動テクニックを徹底的に体に植え付けるためのプログラムを行うのがポスト・シーズンです。

 

そしてポスト・シーズンの後に来るのがオフ・シーズンです。

この名前のせいで「休憩する時期」と認識されやすいのですが、実は逆に鍛えるための時期なのが「オフ・シーズン」です。

この時期はポスト・シーズンでからだに染みつけた運動テクニックを用いて、低強度高量のプログラムからトレーニングを始めます。そして徐々に高強度低量に数値を変えつつ、健康的で力強くパワフルな体の習得に励んでもらいます。そして大学の場合は、この時期の最終段階においてはチームが合宿期に入って目の前からいなくなるので、それ相当のトレーニングプログラムを工夫を凝らして取り入れるS&C指導者の力量も必要となります。

そしてこのオフ・シーズンの終盤のことをプレ・シーズンとも呼びます。まもなく来る試合期に向けて最終調整に入るということなんでしょうけれど、実は試合期に最も重要な時期は試合期の終盤になるので、S&C指導者はその重要な時期をめがけてプログラムを組むべきなので、あまりプレ・シーズンだから!と意気込む必要はありません。まだまだじっくりと気持ちを据えてプログラムを作ってあげましょう。

 

そして試合期です。

この時期も春シーズン終盤の重要な局面や、長い目を持てば秋のシーズンも念頭に入れている必要もあるので、筋力・パワーの成長が継続して起こるようなプログラムは必須です。ただ、わざわざ筋肉痛がえげつなく起こるような運動選択や回数設定を取り入れる必要はありません。あくまで試合にそこまで差支えの無いような体作りを心がけます。むしろ、この時期にやたらめったら筋肉痛を起こさないためにも、この時点までにウェイトトレーニングにみっちり慣れた体作りをポスト~オフ・シーズンで行う必要もあります。

そして必要とあれば、この時期の終盤はウェイトから1~2週間離れてもいいような気持ちの余裕も必要ですね。遠征でトレーニングができないとか、チーム指導者の意向によってトレーニングを行わないとか、諸々の決定があるでしょうけれど、それに対応できるようにプログラムを作っておく必要は序盤から必要です。

 

そしてその試合期が終わったらまたちょっとしたポスト・シーズンです。

しっかり休みを与えましょう。

僕の場合は、実際に2週間の完オフを取り入れることも多かったです。

 

そして秋に向けたオフ・シーズンです。

この時期のオフ・シーズンは、春先のオフ・シーズンよりも強度を高くできます。なぜなら、それ相当の筋力を選手たちが持っているため、高強度のトレーニングに心身ともに対応できる耐久力があるはずだからです。だからといってこの時期も運動テクニックを再修正するいい機会でもあるので、本当に必要があればその修正に丁寧に取り掛かるのも大アリです。ただ理想的にはその時期は最短にして、すぐさま春の同時期よりは重い重量を扱ったうえでの低強度高量のプログラムを取り入れるといいでしょう。そしてそのプログラムは春よりも速いペースで高強度低量へと変化していきます。そしてチームは夏合宿や遠征に向かってしまいまた目の前からいなくなるので、それも見越してトレーニングプログラムを作成しておくといいでしょう。

彼らが夏合宿から帰ってきたらすぐに秋のリーグ戦が始まります。そしてそれこそが1年の集大成です。

僕は毎年この時期に一度もっともいい数値を彼らに経験させます。そしてそれが起きるようにプログラムは事前から設定されています。つまり年に数度行う身体能力テストは、ここでピークを迎えるようにするのです。なぜなら、彼らにとって最も重要なシーズンが来る前に彼らに彼らがどれだけの努力をしてきたかを認識させたいし、なによりも自信を植え付けてあげたいからです。

 

シーズン2度目のそして最後の試合期においても、序盤は筋力・パワー向上を目指した数値を用いてプログラム展開していくのが理想です。ただ、ここでも最終局面においてはトレーニングを行わないという決断を強いられることを念頭に置いておく必要はあります。

そしてチームが彼らの努力に値する結果を得て帰ってくることを心から願いつつ、来シーズンに向けた準備をS&C指導者は開始しましょう。

 

そしてポスト・シーズンです。

先シーズンの反省を基に、昨年よりも良いチームが構築されるための準備をしましょう。

 

*プロ野球選手の場合でも、基本的にやることは同じだと思います。確かにシーズンはずっと続きますが、確実にシーズン中盤で一度健康維持のために必要なトレーニングプログラムを入れる必要はあります。健康だからこそシーズンを通して活躍ができるのです。具体的には、6月頃に少し無理をしてでも面倒なトレーニングプログラムを入れるべきです。

 

これがS&Cコーチの1年ですね。

 

このサイクルを何度も繰り返すからこそ、自身の運動指導者としての発展もありますが、必ず念頭に置かなければならないのは、自身の発展を証明するためには他者の体が自分以上の苦痛も苦悩も経験する必要があるのだ、ということです。

アスリートあってのS&Cスペシャリスト、だということです。

選手たちに無駄な努力をさせるのはやめましょう。たまに「無駄な努力だって必ずある!」と言い切る指導者がいますが、選手が言うならまだしも、指導者であるならばそのセリフを心から吐けるようでは全くもってクソでしかありません。選手には可能な限り効率のいい努力を提供し、選手たちの体力も時間も無駄にしないよう徹底的な工夫をしてください。そのためには、自身の成長のために徹底的に効率の良い努力もしなければなりません。その努力とはなにかも自分でしっかり気付いて実行してください。

なぜなら、S&C指導者とは、その「努力をしろ!」というセリフをあなたのプロフェッショナルとしての成果をあなたに代わって体現しなければならない選手たちに偉そうに言わなければならない立場にあるからです。

 

そして選手の皆さん、誰が自分に無駄のない努力を提供してくれるS&C指導者かがわからなければ、まずはGS Performanceにご連絡ください。

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