2017.4.4

「普通」に思うこと

ここ数日は、日体大教員の岡田さんがインタビュー記事で述べていらっしゃった内容が業界内で大きく取り上げられています。

本当に素晴らしい内容でした!そしてありがたかった!!!

 

そしてこの度4月からフリーになった河森博士もそれに関連した”流石”な関連記事を出し、これに付随して、その「普通」ということに関して、GS Performanceでも言及したいと思います。

 

と言っても、GS Performance加賀の思うことは端的です。

 

これは「知っているか知らないかの差」です。

 

岡田さんが運動種目の例として言及された「Big 3」にとどまらず、世の中には運動指導者が、そして運動選手が知るべき、そして実施するべきいくつかの運動があります。

特に運動指導者は、それら運動に関わるより多くの背景を理解し、適したタイミングで適した種目を取り入れて、適したキューイングとともに、運動選手に提供するべきです。

その結果が、選手の健康的な成長につながり、そしてその成長が、より大きな強度を持つ運動につながり、それらがさらなる選手の健康的な成長につながります。

 

その「つなげ方」を熟知していればその重要性を尊重し、運動選手にしっかりとウェイトを持たせるための準備をし、そして実際に持たせ、選手のさらなる成長につなげるのです。

つまり、「知っているか知らないかの差」ということになります。

 

その「知っている」という状況に至るためには、岡田さんが述べていらっしゃるように、自らが実践しなければならないし、それと同時進行で、自身でそれら運動に関して熟知できるまで脳みそを働かせなければならないし、そしてそれら運動を他者の体に入れ込むまでの技術と知識を取り入れる努力もしなければならない。

やはりここでも「知っているか知らないかの差」が出てきます。

 

見た目がファンシーな種目を、運動選手の指導に取り入れたくなる気持ちもわかります。

それらはなんとなく役に立つ気がするし、「最新」という雰囲気を持つ運動を取り入れている自分が立派な人材なのではという錯覚も得られるし、なんだったらそれらファンシーな運動を選手たちにやらせている先輩トレーナーや国内外の”セレブ的”トレーナーを見て「いつかは自分もこれを選手たちにやらせたい…」という浅はかな憧れを抱いていた過去の自分の夢を実現した達成感も感じることができるのでしょう。

でも、本当にそれらの運動は、選手の貴重な時間と労力を使ってまでして取り入れるべき運動なのか、という疑問は常に頭に存在させるべきです。
そして多くの場合はそれらの運動がそれに値しないと「知ってる」我々は、そういったファンシーな種目をトレーニングに取り入れることはしません。

 

 

基本的な観点として、適切な筋力と柔軟性がなければ、動きを改善することはできません。

「動き」を指導しつつ、理想的な体の動かし方を手に入れる方法も確かにあり得るでしょう。
理想と思われるテクニックを来る日も来る日も反復練習することで、その理想的な動きがとれる筋力と柔軟性を手に入れることは確かに可能だということです。

しかし、真っ当なウェイトトレーニングを「知ってる」と、それと同じことを、筋力と柔軟性を健康的に提供しつつ、自然発生的に実現できるのです。そしてその方法の方がより効率的で健康的だと「知っている」ので、どうしても「動き」からの指導に取り組めない事実もあります。

また、S&Cプロフェッショナルは、競技コーチと違って、選手たちと対峙して指導する時間をそれほど長く取れません。なぜなら、バスケットボール選手たちはバスケットボールの練習を、バレーボール選手はバレーボールの練習を、野球選手は野球の練習をすることが何よりも重要だからです。

その中にあって、より大きくポジティブなインパクトを効率よく選手の体に提供するためには、やはり真っ当なウェイトトレーニングしかないよなぁ…ということを「知っている」のが、真っ当なS&C指導者なのでしょう。

自体重またはそれに毛が生えたような負荷を用いて何かをどうにかしようとしたってやはりインパクトが小さいので、体に入れ込むまでかなり時間がかかる。それを「知らなくてはならない」のです。

また、たとえインパクトのある重量だったとしても、それらを動かす動作が不健康であれば、傷害発生のリスクが高まるので、それはそれで非効率です。

結果、選手が競技練習以外に何かやる時間をわざわざ作り、競技練習以外に体力をそぎ落とす運動をしてくれるのであるならば、やはり、まともなウェイトトレーニングしかもったいなくてやらせられない、と「知る」のです。

 

世にある横文字のファンシーな運動種目には何の罪もありません。ただ、それらに比べると、効率も効果も高い運動がある。それを「知っている」人材が、それら優れた運動を時間も体力も限られた運動選手のために取り入れる。

それだけのことでしょう。

 

「全ての運動にいい点があるのだから、多くを取り入れてみればいい」

「自分とやり方が違うからって否定する必要はない」

などと悠長なことを言っている場合ではないと「知っている」S&C指導者は、もうすでにやるべきことをやっているのです。

 

 

一点だけ今回の岡田さんのインタビュー記事に対する世の反応に関して指摘させていただくと、多くの人が岡田さんの述べていらっしゃったことに共感していることと思いますが、その共感のレベルは未知でしょう…
私は岡田さんがおっしゃっているトレーニング内容の詳細を、あの文面からは受け取ることはできませんでした。そしてそれは、岡田さんの指導を実際にじっくり受けたことのある方以外、誰もできていないはずです。
共感し安心するより先に、「自分のトレーニングで鍛えている運動選手たちは、彼らの時間も体力も無駄にしないでいられているか」と自問&熟考することから、優れたトレーニングプログラムのすべては始まると思います。

 

指導を受けることで、汗を流すのも筋肉痛を味わうのも、常に運動選手です。

試合に負けて涙するのも運動選手で、怪我で試合に出られなくなるのも引退するのも運動選手なのです。

 

S&C指導者の皆さん、自身の成長はすべて運動選手のためです。

「普通」を自分の「普通」に勝手に当てはめず、運動選手のために熟考し実行しましょう。

 

自信をもって述べますが、こうやって偉そうなことを言い放っているGS Performanceは運動選手のために「普通」に実践中です。

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