2021.11.4

「力を入れてる」という感覚と現実

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今回のブログは、先日の月曜日の自主練で実感したことを書きます。

 

その2日前の土曜日は少し長い時間座って作業をし、その翌日の日曜日も引き続き座位での作業を数時間行い、夕方からはリビングで映画を観ました。

そして本ブログ本題の種を与えてくれた月曜日の自主トレです。

長時間の座位から通常より硬直しているであろうハムストリングに刺激を入れるために、念のためウォームアップでRDLを行いました。この写真はその1セット目と2セット目から切り取りました。

写真の上段の私も、いつも通りの感覚でRDLをやっていたんです。でも確認してみると腰の湾曲が見えました。そしてそれを起こさないように気を付けてRDL行った際の腰がその下段の私です。


ちなみに、いつも自主トレの試技は動画で撮るようにしています。
理由は大きく2つあります。1つ目は動作パターンを確認するためで、2つ目は自分に負けないためです。
少なからず全身運動(O-Liftsやスクワットやデッドなど)をすべて動画で撮ることを決まりごとにしておくと、予定セットをやらなかった自分や動作を雑に行った自分など、さぼった自分を後々確認することになります。さぼった自分を確認する時ほどの情けない感情と自己嫌悪はありません。だから撮ること自体をルールづける重要性があるのです。そういった予防線を張っておかないと、恥ずかしながら、私のような心の弱い人間は必ず何かやらかしてしまうんです…


話を元に戻し、曲がった腰のことについて書いていきます。

 

クライアントと話をしていると、よくトレーニング中の感覚の話になります。スクワット動作中の腰回りの感覚、デッドリフト中の上背部の感覚、ベンチプレス中の胸の感覚、などなど挙げればきりがありません。やはり体を動かしている時は、多くの方が、その時自分が起こしている筋発揮に繊細に気を向けているのでしょう。

ただ種明かしをしてしまうと、今回のブログは「その感覚ってあてにならないよ」という話です。
GS Performanceの指導においても、ほとんど全員のクライアントの方が、自分の感覚の繊細さや的確性が不安定であることを実感した経験をお持ちです。
そのくらい、動作の中での自分の感覚と現実に起こっている現象は異なることが多々あるのです。

 

でも当然その解決策はあります。
とにかくは、正しい動作パターンとその時に自分が感じる感覚を覚えていくことです。そしてもう一つ重要なことは、自分の感覚はあてにならない、という事実を熟知することです。

 

上の写真に挙げた腰の状態を作った動作パターンを動画でご確認ください。

RDL with Rounded Back ←いつも通りの問題ないフォームでやっているつもりでも、前日と前々日の長時間の座位が災いして、ハムストリングが硬直し腰を張る能力も薄いようでした。

RDL with Straight Back ←上の動画で見られる試技を確認し、そしてその時点で起こったことを理解し、気にすべき箇所により強く意識を向けてやり直した動画です。

 

最初の動画は、「いつも通りやっている」、「○○に意識を向けている」、「△△に強く力を入れている」、こういった”感覚”は現実とかけ離れることが頻繁にあるという例です。
そして2つ目の動画が、「その日の自分にとって正しい力の入れ方」を探りつつ実践している動画です。

結果的には、2つ目の動画中に自分が感じている感覚は現実に起こっていることとほぼイコールで結ばれます。ただその裏には、正しいフォームの認識と、そのフォームを実現するために必要な筋発揮箇所と、起こりうるエラーパターンとその修正方法、を深く認識しているという前提があります。(これについてはこのブログをご確認ください)

ただ、このフォーム習得に至るまでに、多くのGS Performanceのクライアントさんが、自分の意識と現実の狭間にある溝の深さに困惑し、疑惑を持ち、結果的には(あくまでベストケースシナリオで、ですが)、人体の不思議と動作の奥にある理屈の深みに感嘆なさいます。

そして「筋トレってすごい頭使います!」と仰られます。

 

多くの場合、「動作を全うする覚悟」が完成する方は下に記したような経験をなさると思っています。

エラー動作が自分の意識と認識以上の厚みと複雑さをもって自分に襲い掛かる現実を知る

「やってるつもり」はあてにならないことがあるという事実を知る

自分のエラーパターンを強く認識する重要性を知る

正しいフォームを再現している時の感覚に繊細な意識を向け熟知する工程に入る

エラーパターンを抑える際に用いる策(感覚)を知る

フォーム修正の成功体験を積む

自分にはフォーム修正ができる、という現実を知る

他のエラー動作パターンに出会う

また克服する

やはり自分にはフォーム修正ができる、という現実を知る

筋トレはすごく頭を使う難しい作業だがしっかりと立ち向かえば勝てる、と知る

自主トレそして指導業務から得た個人的経験をもとに構成はしましたが、おおよそすべての方が上のようなアップダウンを繰り返す感情の起伏と共に身体を鍛錬する経験を反復しつつ、動作の習得に至っていると考えています。

残念ながら、GS Performaneにお越しいただいた100%の方々に、エラー動作を克服する経験をしていただいているわけではありません。工程のどこかでつまずき、どうしても先に進めなかった方もいらっしゃいます。
私がどのように指導していいかわからなかったからこそ、その方々の向上の停滞が起こったのだと強く反省しています。日々の指導業務に真剣に取り組む中で、過去の負の体験の克服策もしくはそのアイデアは浮かび上がってくるので、これからも精進を繰り返しつつ、可能な限り高い指導力に到達するための作業を継続しますが、やはり残念ながら、これからも”100%”という数字を達成することはできない現実もあると認識しています。

そのくらい、ウェイトトレーニングの技術習得とは難しいのです。

問題は、「感覚」だという認識もあります。新しい動作に挑戦するとき、皆さんは「○○しているつもり」という意識とその努力はなさっているはずだからです。
その時にご自身が発している感覚の箇所や強さそして方向性が少しずつずれていくと、もしくは初めから誤った箇所や強さそして方向性が発せられると、どうしても正しいフォームにたどり着くことができません。

そのために私のような指導者が横について、その感覚を正しく導くための指導をしていきます。
ただその指導こそが、私が行う運動指導の中で最も難しい業務です。なぜなら、私は私の目の前にいらっしゃる方がどのような感覚を発しているのか、そして感じているのか、具体的に確認することができないからです。

私が確認できるのは、実際に起こっている現象だけです。そしてその現象に合わせて、アドバイスを送ることだけしかできません。

「感覚」と「現実」。

この狭間にあるすべてが目視できればどれだけ指導が楽になるか・・・

でもそれが可能になる日はしばらくは来そうにないので、様々な工夫と共にお客様を待ち受け、可能な限り彼らの目標や目的に沿った指導ができるよう、自身の知識と技術を発展させるしかありません。(その工夫の一部はこのブログでご確認いただけます)

運動なさる方々が頼りにする「感覚」。

再度真剣にこの感覚と向き合ってみますと、また新たな感覚と出会えるはずです。ただその出会いは、多くの場合苦痛とともにやって来るので、どうかご覚悟を。
しかしながらその先にある知見は、身体能力向上や健康促進そして競技力向上などなど、自分を誇らしく思える回数を格段に増やすことができる代物であることを保証します。

ご自身の感覚とご自分自身をアップデートされたい方は、GS Performanceまでお越しください!

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