2017.12.21
”商業的S&Cスペシャリスト”として今年痛切に感じたこと
間もなく平成29年が終わります。
年が明ければ、独立してから3回目の確定申告のために書類を整理して税理士さんに届けに行く時期がやってきます。
コツコツと書き溜めてきたブログが独立してからの我が身を助け、それに加えて、昨今のSNS文化の発展により、日常的に様々な情報を容易に世に送り出すことができ、それらを気に留めていただいている特定の人口に届き、その中でも数%の方が実際に私の指導を受けにやってきていただける状況が続き今に至っています。本当にいい時期にこの仕事をできていると思います。
多くのアスリートからお声がけいただけてもいます。
野球・バレーボール・サッカー・バスケットボール・トレイルランニング・陸上長距離・陸上短距離・クロスフィット・ボクシング・MMA・空手・スノーボード・競泳・クライミングと、思い出せるだけでも様々な種類のスポーツ選手たちにお越しいただけました。
そしてスポーツ選手以外の方たちにもお越しいただきました。ウェイトトレーニングの技術を学びに来られた方、健康促進を目的に来られた方、運動指導者としての質を上げるために来られた方、などなど、多くの目的を持ってGS Performanceにてトレーニングをしていただきました。
多くのクライアント様と接し、トレーニングを継続していく中で、ありがたいことにそのうちの多くの方々には、当初の目的に沿った結果を迎えることができ満足していただけました。
しかしながら、アスリート指導の難しさを強く実感することも多い年でした。
仙台大学でのS&Cコーチ時代から、関東大学チームが築く壁の高さは相当で、東北での勝利を掲げてインカレに挑んでいっても、選手たちの努力に見合う結果をシーズン最後に得ることは少なく、悔しい思いをすることは実際多かったです。基本的に「それがスポーツだ」という認識があるので、来る新シーズンの準備にすぐに取り掛かり、再度また選手たちに懸命にトレーニングに励んでもらうだけだったのですが、独立してからはそれが不可能になることになる現実も多く経験しました。
「結果が伴わなければ新しい契約が結ばれることはない。よって継続して選手たちにプログラムを提供して指導することができなくなる…」という”当たり前”の現実に直面し戸惑ったのも今年でした。
ちょうど仲間の河森直紀博士がS&C指導者としての私が持つ限界とジレンマを説明してくれるブログを書いていたので紹介します。
「がんばってトレーニングをしたのに結果(=勝つこと)に繋がらなかった時に、その原因を探るためにチェックすべきポイント」
真剣にスポーツに取り組んでいる選手たち全員が本気で勝とうと励んでいる中で、レベルが高くなればなるほど、勝利を手にすることが深刻に難しくなるのです。だからこそ選手たちは他の選手たちとは違う努力を積み重ね、その努力の一環として私のようなS&C指導者を雇用し、より一層勝利に近づこうとするのですが、その努力に見合う結果がついてこないことも非常に多いというのが現実なのです。
大学のS&Cコーチだった時は、選手たちを鍛えることができる期間を3年半は確保できました。その間に、特に2年生の秋くらいからは如実に表れる身体能力の向上とともに選手たちは競技力も向上させ、その変化を経験したおかげでより強く私のS&Cプログラムを信頼しついてきてくれる”文化”が築かれていました。
今思うと、非常にやりやすい環境で運動指導ができていたんですね。そしてその”甘い”環境の中で私も胡坐をかいていたのかもしれません。
昨日仲間の野口克彦トレーナーと話している中で、私はこんな表現を使っていました。
「あの頃は十分な時間がある中でそれに見合うレシピがあり、そのレシピに自分なりの工夫を加えて料理をしていれば、本当にうまい料理が出来上がっていた。そして食べてくれる人たちもそれで十分満足してくれていた。でも、今は十分な時間がない中で今までよりももっとうまい料理を作ることを期待されているから、今まで使っていたレシピは使えない。圧力鍋すらない中で本当にうまい煮込み料理を10分で作れと言われているようなもんだ。」
科学者は偉大で、私たちS&Cスペシャリストに有効なトレーニングプログラムを作成するために必要な知識を授けてくれました。その知識をもとに経験を積み重ね、より一層有効なプログラムを作成できる能力を携えることもできました。しかしながら、それを発揮していた大学S&Cコーチ時代と、今のパーソナルトレーナーとして活動している中で与えられている条件は大きく異なります。何よりも大きな違いは与えれた時間で、その時間制限の中で新しいS&C指導者としての戦いが始まりました。
その異なる条件においても結果を出すのが本当のプロだからです。
より斬新な工夫の必要があり、しかもより明確な結果を出す必要もあるのが、商業的S&Cスペシャリストに要求されることなんです。
非常に難しく、いまだに明確で確実な打開策を見つけ実行することが至難の業であるという認識は消えません。そしてアスリートを心から尊敬するからこそ、気軽にポジティブなことだけを並べ立てて客として招き入れようなんてこともできません。
直面する現実はかなり厳しく、明確と呼べる身体能力の向上を達成できたときでも、勝利が伴わなければ、S&C指導者は評価の対象にならないのです。そして、向上と本来ならば呼べる身体能力の変化が競技力の低下を引き起こしたという指摘すら受けてしまい、結果的に継続指導の機会すら失うのも商業的S&C指導者です。
まだまだ私はS&C指導者として向上し続けて、より一層アスリートの方々のお役に立てるような人材にならなければなりません。
商業的S&C指導者が、結果を求めるアスリートに明確に示すことができる”サービスの質”を、後進の人材のために見つけ出さなければなりません。
(今年はその後進の指導でも不安を感じることが多くありました。より多くの優秀なS&C指導者を育成するため、そして日本のスポーツトレーニング文化を好転させるための”多数決”で勝つために始めたGS Performance S&C塾も、その指導内容の難しさから、かえってその多数決で不利になる傾向を強くしているだけのような気がします。まぁ、これはまた別の話でとっておきます…)
年の瀬に弱気なブログになりましたが、最後は前向きに終わります。
私が私のビジネス上での呼称を「GS Performance」としたのにも理由があります。そして来年はそのGS PerformanceがGS Performanceでいるための正念場だと思っています。
諸々と強い仲間は多くいますから、彼らとともにS&C文化を豊かにする活動は継続します。
GS Performanceは、今まで以上に多くのアスリートのお声がけをいただけるような存在になれるよう、メチャクチャ努力します!