2020.7.9
スプリント動作中のトリプルエクステンション
先週クライアントさんが、SNSで「速い人ほどスプリント中にトリプルエクステンションを起こさない」と発する人がいたが本当か?、という疑問を投げかけてくれました。
これはS&C指導をしていると必ずぶち当たる小さな疑惑で、誰もが一度は「起きない」という判断もしがちなんです。
ただですね、本来の問題は「起こさない体の方が優れているのか?」という問いで、その解答は「起こせる体を準備しておく方がいい」であることは曲げようのない事実です。
私としても、スプリントに限らず、大きな力を素早く発揮する際にトリプルエクステンションが起きる体に育ててあげなければならないのがS&C指導者だ、と幾度となく発してきています。(例えばこのブログとかこのブログ)
万が一世界一足の速い人がスプリント動作中にトリプルエクステンションを起こしていない場面を目撃しても、それで「トリプルエクステンションを起こさない方が速く走れるんだ」と判断してしまうような短絡的な脳力を持つS&C指導者には決してならないように日々精進しています。
ちなみにですが、スプリント動作中でもトリプルエクステンションは起きます。下に載せたビデオを見ると、もしかしたら最初は困惑するのかもしれません。でも、1度見て不確かだったら2度3度と見れば明確に答えを得ることができます。
忘れてはいけないのは、100mスプリントという競技にも、他のスポーツ競技同様に、特殊で高い技術は必要である、ということです。だから、膝の完全伸展を起こさない技術もスプリンターは持っています。ただ100m走に挑む10秒間の中では、トリプルエクステンションを起こすストライドも当然ながら複数あります。なぜなら、それは彼らにトリプルエクステンションを起こす身体能力があり、それを必要とする瞬間が100m走にはあるからです。
様々な競技力向上に有益な身体能力要素を、トレーニングを通して体にしみこませていく作業をするのがS&C指導者です。
そのために情報収集能力を高めることも、S&C指導者が成長するために非常に重要なことですね。