2017.9.20

自己研鑽のための”プログラム・デザイニング”

私は「努力」と「忍耐」は別物と考えています。

与えられたメニューをただこなすのは「忍耐」。

そのメニューをどのように有効活用して他者より優れたレベルまで向上できるか工夫を凝らして取り組むのが「努力」。

例えば、部活の時間に与えられた練習内容をただこなすのは「忍耐」。その練習中に自身で明確な課題を持ちつつ取り組み、必要に応じて自主練の中で自身を磨き、新たな部活動の練習の中でより一層の自己改善に取り組むのが「努力」です。

 

 

GS PerformanceのS&C塾修了生向けのプログラムで「メンターシップ」というものがあります。

 

その内容は、直接指導、課題提出等での指導、そしてS&C塾を主とした現行のGS Performanceのセミナーへのインターンコーチとして参加することで私の指導を指導者の立場から見る学習と実際に受講者に指導をする実習です。

 

4か月間の厳しい塾を修了したから学びが終わるわけではなく、修了したからこそ自身の欠点に気づき修正・改善を図る具体的な自己研鑽方法を知ります。
しかしながら、塾以降もより多くの学びを効率よく実施したいという塾生や、自分一人ではどうしても改善に向かうのが難しいと感じた塾生が、再度この「メンターシップ」を利用してGS Performanceに帰ってきます。
そしてGS Performanceでは、わざわざ帰ってきてくれた塾生に対して最大限の効果を出すための指導をするために工夫を凝らします。
まず自らでメンターシップ期間中の課題と目標を明確にしてもらいます。決まった期間中に現実的に解決できる課題を定めることと、その課題に対してどのように取り組むかという具体的な方法をみつけることが、このメンターシップでは最も重要なのです。それはS&C指導者が、決められた期日にある試合での勝利に向けて懸命に励むアスリートにトレーニングプログラムを組む作業と根幹が同じだからです。不可能な課題と目標は時間の無駄を生むだけです。効率と効果を考慮すれば、「現実的」を実践するための脳力を持つことがS&C指導者にとって最重要になるのです。
その後は何より「努力」です。

せっかくのこの機会を目の前にして、口をあんぐりと開けて誰かが何かを放り込んでくれるのを待つだけは許されません。
アスリートに対して偉そうに「あぁしろこぉしろ」と指図する立場であるS&C指導者である以上、その指図の内容は確実に効率的かつ効果的でなければなりません。そのための技術も知識も蓄えておくべき人材であるS&C指導者が、せっかくの学習及び自己研鑽の機会を無駄にするのは愚の骨頂です。
自らが選択した課題と目的に背を向けるような人材は運動指導者には向いてないのです。

 

 

今日もメンターシップ受講者の塾修了生の指導がありました。
施設に来たとたんに「忙しかにかまけて何もしてきませんでした・・・」というセリフから始まった今日の指導が、彼にとって過酷な時間になったのは言うまでもありません。

その彼の怠惰の代償を払うのは彼ではなく彼のアスリートであるという内容の説教をし、それを理解した彼は強く反省し、その指導の時間を可能な限り有効に使おうと必死になり、結果、自身が切羽詰まり本気になった時にはどれだけ効果的な反応ができるのかも知りました。きっと次回の指導までには、彼の指導対象となるアスリートのために懸命な自己研鑽に励むはずです。

 

私は、自らの怠惰を棚に上げて、自己弁護及び正当化をするような人材が大嫌いです。

また、何度も何度も同じ弱点を露呈する人材にも強い態度で指導に当たります。

 

その当人の先にいる複数名の指導対象者を思うと、どうしても向上に向かわない人材に対する指導に熱が入るのです。

あたかもそれは今話題の「このハゲぇ~~~!違うだろ!!!」のあの人のごとしかもしれません(^^;)

 

ただ指導者の怠惰の代償を、その指導者のアスリートが払うと思うと、不憫でいたたまれなくなるのです。

 

どうしても向上しないならば、より一層どうしたら向上できるのか考えなければなりません。そしてより一層その改善策に真剣に取り組まなければなりません。それでもなお改善しなければ、さらにまた向上のための策を考え、それに一心不乱に取り組まなければなりません。そしてそれでもなお向上できないならば、その時はS&C指導者としての進退を真剣に考えなければなりません。

 

このブログ中での幾度となく述べていますが、指導者の成長は指導者のためではありません。アスリートのためなのです。

 

 

そのために懸命に自己研鑽に励み、少しずつでも成長を見せる塾生や修了生たちには、私も彼らの努力に負けない努力で対応します。

もし彼らにそこまでの気構えがないようであれば、アスリートに堂々と顔向けができる気構えをどう持つのかを指導します。

「これだけ辛いトレーニングを提供して本当に悪いんだけど、でもこれをやれば明日の君たちのために必ずなるから、だからここは俺を信じて一生懸命やってくれよ」

そう心から思えるプログラムを自身の何十倍も才能のあるアスリートに提供し、指導を通じて彼らの真の役に立つためにS&C指導者は存在しています。

 

「愛」だけでサポートが成り立つのはアスリートの親をはじめとする家族です。

S&C指導者は「想い」だけでは決して存在価値を示すことはできません。むしろ迷惑になるでしょう。

アスリートを指導する立場でいたいならば、それに値する技術と知識が必要なのです。

 

人間は弱いものです。

こう偉そうに言っている私も、自分ほど弱い人間はいないと自覚しています。

だからこそ、自身の成長を自身のためだと思ってしまうと、自身がするべき以上の努力ができなくなるのです。

 

自身の向上のための”プログラム・デザイニング”に優れている人材も数多くいます。GS Performanceの周りにも沢山います。

自身を省みて欠けている面に気づいた方々、そんな「努力」に優れた彼らに大きく水を開けられる前に、運動指導者としての「努力」に真剣に向き合ってみてください。

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